遺伝子治療のベクターに人工ウイルス
YomiuriONLINEより「カプセルで遺伝子運び患部狙い撃ち…東大が治療法開発」
高分子カプセルで治療用の遺伝子を患部に運び、レーザー光で活性化させる、新しい遺伝子治療法を、東京大大学院工学系研究科の片岡一則教授らが開発し、20日付の英科学誌ネイチャー・マテリアルズ電子版に発表する。遺伝子治療は、正常な遺伝子を細胞におぎなったり、遺伝子の欠陥を修復・修正することで病気を治療する手法です。遺伝子疾患だけでなく、がんやエイズ、難病など様々な病気への応用が期待されています。
この際に治療用の遺伝子を細胞に運ぶためのものを「ベクター」と呼びます。通常、ベクターは病原性をなくしたウイルスなどを使用します。しかし、炎症などの副作用が出たり、治療目的以外の細胞の遺伝子を組み換えてしまう可能性があります。
この研究では、天然のウイルスの構造を参考に、光に反応して活性酸素を放出する性質を備えた高分子の“殻”で治療用遺伝子を包み、大きさ約100ナノメートルの球状のカプセル型をした人工ウイルスを作成しました。
このカプセルを患部に注射してレーザー光を当てると、カプセルが分解し、薬品が反応して遺伝子を活性化させる仕組みになっています。
実際に、マウスの目の実験で光を当てた部分だけでカプセル内にあった遺伝子が働くことを確認したとのこと。光が当たった部分にだけ反応して効果を発揮するため、特定の部位を限定的に治療するのに役立ちそうです。
加齢黄斑変性症など目の疾患やがん治療に応用する研究を進めている。さらに再生医療への利用も目指しているという。以前には磁石でベクターをコントロールするという研究も発表されていましたね。
<参考>「磁石でベクターを標的細胞に引き寄せる」
人の遺伝子は約30億個の塩基からなっていますが、このうち遺伝子の塩基配列が1ヶ所だけ違っている部分、いわゆる微妙な個人差がある部分が誰しもあります。これを一塩基多型(SNP)といいます。この違いが、肌の色や体質の違いを生みますが、これはまた病気へのかかりやすさや薬の効き目、副作用などの違いの原因ともなります。

