2006.04.21

細胞の自食作用低下がアルツハイマーの原因になる?-自食作用は細胞のゴミ掃除

Asahi.comより「細胞「自食」は体のゴミ処理 国内2チームが証明

生物が飢えると細胞が自分の一部を食べる自食作用(オートファジー)というしくみが、細胞内の異常なたんぱく質を分解するゴミ処理装置としても働くことを、東京都臨床医学総合研究所などの2チームがそれぞれマウスで証明した。
細胞を飢餓状態においたとき、細胞は自分自身のたんぱく質をアミノ酸に分解し、栄養とすることで飢えをしのぎます。これを自食作用といいます。植物からほ乳類まで幅広い生物にみられる現象ですが、栄養状態にかかわらず日常的にもわずかだが起きており、その理由は謎とされてきました。

特に、他の器官から常に栄養が補給される脳内の神経細胞での役割は詳しく分かっていませんでした。

研究チームは、自食作用が働かないマウスを遺伝子操作でつくり、その機能を詳しく調査。その結果、マウスの細胞には、神経疾患の原因となる古いたんぱく質や異常な構造をしたたんぱく質がたまるようになったとのことです。

また、神経細胞でだけ自食作用を働かなくしたマウスは、生後1カ月になると歩行障害を起こし、大脳や小脳の細胞死が目立つなど神経疾患と同様の症状を示しました。

アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経性疾患は従来、「ユビキチン・プロテアソーム系」と呼ばれる特定たんぱく質の個別処理機能の異常が原因とされていましたが、この機能が正常でも、自食作用の低下により発症に至ることが初めて示されました。

大隅良典・基礎生物学研究所教授(分子細胞生物学)の話 オートファジーのしくみや役割にはなぞが多かった。神経変性疾患との関連がマウスでわかったのは重要な成果だ。その制御のしくみが解明されると、神経疾患の治療や老化の予防につながるだろう。
自食作用を高めることで、神経疾患の治療を行うという新たな手法が考えられます。

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2006.04.19

躁鬱病の原因はやはりミトコンドリアか?-躁鬱病のマウスを作成

毎日新聞より「そううつ病マウス:理研チームが作成 治療法、新薬開発に

理化学研究所脳科学総合研究センターの研究チームが、人間のそううつ病に似た症状を示すマウスを作り出すことに成功した。そううつ病のモデル動物はこれまでなく、このマウスを実験に使えば、病気の治療法や新薬の開発に役立つという。米専門誌の電子版に18日付で発表した。
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躁鬱病は、精神分裂病とならぶ2大精神疾患の1つで、躁状態と鬱状態が交互に表れる病気です。鬱状態から急に躁状態になることもあり、一晩のうちに躁転することもあります。鬱病とは違って100人に1人位しかかからない病気ですが、再発率が高いので、生涯にわたる予防療法が必要となります。

躁鬱病の原因は、神経伝達物質の伝達機構に異常が生じるのではとの仮説が有力視されていますが、はっきりと分かっているわけではありません。また、躁鬱病患者にはミトコンドリア変異がみられることもあり、ミトコンドリアと何らかの関わりがあるのではとも考えられています。

研究チームは、遺伝子を改変して、脳の神経細胞のミトコンドリアが徐々に機能障害を引き起こすマウスをつくりました。

その結果、正常なマウスは暗いときに活動し明るくなると活動を止めますが、機能障害マウスは明るくなってもしばらく動き続け、暗くなる前に動き始めるなど、躁鬱病患者の不眠症状に似た異常行動が確認されたということです。

また、このマウスに躁鬱病患者に投与される炭酸リチウムを与えると症状が改善。逆効果とされる「三環系」と呼ばれる抗うつ薬を与えると、症状が悪化しました。

加藤さんは「ミトコンドリア仮説を支持する結果で、モデル動物として利用できる」と話す。
このマウスを研究することで、躁鬱病の研究が進めばいいのですが。

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2006.04.10

富国強兵でE型肝炎もやってきた

YomiuriONLINEより「E型肝炎ウイルス、100年前に土着化…ブタ輸入で

最近になって存在が確認され、ときおり集団感染を引き起こすE型肝炎ウイルスは、すでに約100年前には国内に侵入し、“土着化”していたことが、厚生労働省研究班(主任研究者・三代俊治東芝病院研究部長)の調査研究でわかった。
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E型肝炎は水や食べ物などを通じて感染するウイルス性肝炎です。潜伏期間は数週間で、発熱や吐き気などの症状があります。感染は一過性で発症しない人も多いが、まれに劇症肝炎になることもあります。大部分は完治しますが、妊婦が感染した場合は10%以上の高い致死率を示すといわれています。

もともとアフリカやインド、東南アジアなど衛生状態のよくない国で流行していたため、これらの国への旅行者にのみ見られる輸入感染症だとされてきました。しかし近年、渡航歴のない患者の存在が各国で知られるようになり、同時に豚にも類似のウイルスが存在することが明らかにされ、ブタが感染源の一つではないかと疑われています。

E型肝炎ウイルスは遺伝子の特徴から1-4型があることが知られており、時間の経過とともに変化していきます。この遺伝子の変化を調べることで、ウイルスの歴史、移動、系統関係などがわかります。

この研究では、国内と世界各地で見つかったE型肝炎ウイルスの遺伝子を比較。国内のウイルスは大きく分けて3型と4型の二つのグループが混在し、いずれも約100年前に、起源となるウイルスが国内に侵入したことがわかりました。

富国強兵政策の一環で、軍人の体力をつけるため英国から輸入したブタによって持ち込まれ、肉食文化の普及で全国に拡大したのではないかと研究チームは考えています。

E型肝炎ウイルスの感染経路は、ブタやシカ、イノシシなどの肉の生食によるものと分かってきた。しかし数年前まで日本のE型肝炎のほとんどは、インドなど海外で感染したものと考えられていた。
加熱すれば大丈夫といわれていますので、豚やシカ、イノシシなども生食でなければ大丈夫です。

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2006.02.17

細胞死を押さえる物質発見−神経難病の治療に朗報か

YomiuriONLINEより「細胞死を抑えるたんぱく質発見、神経変性疾患に効果?

病気などで異常になった細胞は「自殺」する仕組みになっているが、この細胞死を遅らせるたんぱく質を、東京医科歯科大と科学技術振興機構のチームが見つけた。
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細胞死には「アポトーシス」や「ネクローシス」などがあります。アポトーシスは生物体を環境に対して最良の状態に保つために積極的に引き起こされる細胞の自殺行動の一種で、例えば、ガン化した細胞のほとんどがアポトーシスにより取り除かれ、その進行が未然に防がれていることが知られています。また、ネクローシスは壊死とも呼ばれ、血行不良や外傷などによる細胞死のことです。

しかし、アルツハイマー病など、2−20年かけて緩慢に進む神経の病気の場合、この細胞死がほとんど働かないことが知られています。

しかし、アルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患の進行を遅らせる可能性が出てきました。

研究チームは、細胞死を抑える未知の働きがあるのではないかと推測。小脳が委縮する特殊な病気とよく似た症状にしたラットを作り、詳しく調べました。その結果、細胞中から、細胞死を遅らせていると見られる「YAPdeltaC(ヤップデルタシー)」と呼ばれる分子を見つることに成功しました。

この物質を作る遺伝子を、神経変性疾患のラットの遺伝子に組み込んだところ、細胞死が大幅に抑制されることが確認されたということです。

同大の岡沢均教授(神経内科学)は「アルツハイマー病などの神経変性疾患に効果のある薬の開発につなげたい」としている。
高齢者社会を迎え、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症などの難治性神経疾患の治療法の開発が急務となっています。今後の研究の発展に期待したいものです。

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2006.01.27

これがインフルエンザウイルスだ!−内部構造の撮影に成功

YomiuriONLINEより「東大、インフルエンザウイルスの内部構造撮影に成功

東大医科学研究所が、毎年流行するA型インフルエンザウイルスの内部構造の直接撮影に成功した。
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この研究を行ったのは、東大医科学研究所の河岡義裕教授、野田岳志・特任助手らの研究チーム。増殖した直後のウイルスを縦横に輪切りにして、電子顕微鏡で内部を観察しました。

インフルエンザA型の遺伝子は、8つに分かれたRNAで構成されています。感染細胞から出てきたウイルスの内部を電子顕微鏡で輪切りにして観察したところ、RNAが、1本を中心にして、その周りに7本が規則的に配置されている様子が確認できました。また、ウイルスが新たに複製される際は、この8本のRNAが1セットになって取り込まれていることも確認できました。

画像では、タンパク質に巻き付いたRNAは、それぞれの長さが少しずつ異なっていたとのことです。

世界初の成果で、26日発行の英科学誌ネイチャーに発表する。
新型インフルエンザの恐怖が蔓延する中、治療薬の開発につなげることができれば最高なのですが。

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2006.01.13

ホタテの貝殻から水虫治療薬−個人輸入もできます(笑)

Yahoo!NEWSより「水虫、ホタテ貝殻で撃退 八戸工大など治療薬開発」(河北新報)

ベンチャーで新素材メーカーのチャフローズコーポレーション(横浜市、笹谷広治社長)は、八戸工大(青森県八戸市)と共同でホタテ貝殻を原料とした水虫治療薬を開発した。今月下旬にも市販薬として米国で発売する。
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この薬の商品名は「MOIYA(モイヤ)」。日本語の「もーいや」から命名したようです。米国では昨秋、市販薬として承認されました。1月下旬から1本9ドル50セントで販売するとのこと。

この会社はホタテの貝殻の粉末を使ったシックハウスにならない壁を製造している会社です。この会社の社員が作業の間は水虫の足がかゆくなくなるのに気づいたことが開発のきっかけとか。

研究の結果、ホタテ貝殻を粉砕し、105―1050度で特殊焼成したセラミックス粉末の成分の酸化カルシウムなどに、有害化学物質の軽減機能と抗菌機能があることが分かりました。

水虫薬はセラミックス粉末を蒸留水に溶かしもの。米国内で行った治験の結果では、約7割に改善傾向があることが分かったそうです。

笹谷社長は「天然素材で副作用がなく、患者にとって安心だ」と説明。小山教授は「ホタテ貝殻の有害化学物質軽減機能の詳細を3月に学会で発表したい」と話した。
日本人の5人に1人は水虫といわれています。また、身を取った後のホタテ貝殻は青森県だけで年間約5万トンもゴミとして排出されています。一挙両得です。

ちなみに個人輸入もできるようです(笑)

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2006.01.11

タバコが原因の肺気腫予防にはトマトジュース?

Yahoo!NEWSより「愛煙家にはトマトジュース?=マウスで肺気腫防止−順天堂大とカゴメ」(時事通信)

たばこを長年吸い続けた状態にしたマウスに、飲み水にトマトジュースを半分混ぜて与えると、肺胞が壊れて息切れが起きる肺気腫(しゅ)の発症を防ぐ効果があることを、順天堂大医学部とカゴメ総合研究所の共同研究チームが9日までに確認した。
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肺気腫は、肺を構成している肺胞が徐々に壊れていき、肺がスカスカになってしかも膨らんだままでしぼまなくなった状態になる病気です。息切れ、呼吸困難を伴い、、咳、痰、むくみ、頭痛のほか、バチ状指やチアノーゼが現れることもあります。

肺気腫の原因はまずタバコであることがほとんどです。

この研究では、肺気腫の発症をトマトジュースが防ぐのではないかとのことです。

これはトマトに含まれるリコピンという色素の作用でないかと研究チームは推測しています。

リコピンは、トマト等に含まれるカロチンの一種です。力□チンといえばβカロチンが有名ですが、リコピンの抗酸化作用はβ力□チンの約2倍あるともいわれています。そのため、がんや動脈硬化の予防効果も期待されます。

また、最近の研究ではアトピー性皮膚炎に対する効果も確認されています。

研究チームは今後、肺気腫や慢性気管支炎の患者にも効果があるか調べる方針。
タバコを吸ったらトマトジュースですか。それよりも吸わないのが肝心かも(笑)

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2005.12.22

インクジェットで人工骨を作る

YomiuriONLINEより「インクジェット技術で人工骨、2007年にも実用化

紙にインクを吹き付けるインクジェット方式の印刷技術を応用して、短時間で精密な人工骨を作ることに、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や東大病院、医療ベンチャーなどの共同研究グループが成功した。
0512221これまで人工骨は素材を焼き固めて外側から削っていたため、内部加工が難しいという問題がありました。

今回開発された方法では、プリンタに使用されるインクジェットと全く同じ原理を使い、インクの代わりに、人工骨の成分であるリン酸カルシウム粉末と接着剤を、厚さ0.1mmの薄い層として重ね立体構造を作ります。

人工骨の構造データは、患者の骨の欠損部周辺のCT画像をコンピューター処理して作り、人工骨作成機に取り込みます。

数cmから数十cmまでの骨を成形できるということです。

移植した周辺の骨となじみやすくするため、人工骨に直径2mmの穴を開けて成形することもできます。患者の骨の組織が穴に入り込み、人工骨は徐々に吸収されます。

頭部に骨腫瘍を患った家畜病院動物患者のウェルシュ・コーギーの骨腫瘍を取り除き、この人工骨を移植する置換手術を行なった他、13頭のビーグルなどでも移植を実施。これらの動物実験で副作用は確認されておらず、同大の倫理委員会で承認されれば年明けには臨床試験に入るということです。

国内には対象となる患者として、口蓋(がい)裂2400人、骨腫瘍(しゅよう)2000人、外傷性の患者4万人ほどが毎年いるという。
インクジェットで骨まで作れるのですね。

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鳥インフルエンザウイルスを99.99%死滅させる新素材開発

毎日新聞より「鳥インフルエンザ:ウイルスの感染力弱める新素材

鳥取大農学部の大槻公一教授(獣医微生物学)らの研究グループは21日、鳥インフルエンザウイルスの感染力を瞬時に弱める新素材(厚さ約0.5ミリ)の開発に成功したと発表した。
この新素材は鳥取大学の大槻教授のグループとダイワボウ、用瀬電機によって開発されました。

用瀬電機と鳥取大学は2年前、天然鉱物「ドロマイト」を特殊加工して鳥インフルエンザウイルスなどを殺滅できる抗ウイルス材を開発。これを用いたマスクなどをすでに開発していました。

今回、ダイワボウがこの抗ウイルス材を使って特殊加工し、従来の製品より抗ウイルス効果の即効性と持続性がより高い不織布の開発に成功したということです。

鳥取大学農学部獣医学科の実験では、不織布に付着した鳥インフルエンザウイルスが1分間で99.9%殺滅でき、さらに30日後も効果が持続しました。

来年以降、新素材を使ったマスクや作業着などで商品化を目指す。
これまでの抗ウイルス材はウイルスをブロックするだけでしたが、この新素材はウイルスを破壊して感染を防ぐ点が画期的といえます。

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2005.11.29

アルツハイマー治療にまた一歩

毎日新聞より「アルツハイマー病:原因たんぱく質の生成抑止 京都薬科大など、化合物開発

アルツハイマー病の原因と考えられているたんぱく質が出来るのを止め、根本的な病気の治療に役立つ可能性のある化学物質を京都薬科大、東京大、理化学研究所の共同研究グループが作り出すことに成功した。
0511291
アルツハイマー病は、体の細胞膜にあるアミロイド前駆体タンパク質(APP)を、分解酵素が切断し出来上がったアミロイドβペプチド(Aβペプチド)という物質が脳内に大量に蓄積して起きると考えられています。

症状を軽くする薬はありますが、根本的な治療薬は存在しません。

京都薬大の木曽良明教授らの研究グループは、βセクレターゼという酵素の遺伝子が欠損したマウスでは、アミロイドがほとんどできない点に着目。この酵素が機能する中心部分に結合し働かなくする化合物として、KMI−429といわれる化合物を設計し合成。
 
 家族性アルツハイマー病遺伝子を発現させたマウスと普通のマウスで、脳の海馬にこの化合物を注射すると、いずれも3時間後には生成されるアミロイドが約4割減少しました。また、既に蓄積しているAβペプチドの排出も進んだということです。

マウスでの実験で有効性が確認され、治療薬への実用化が期待出来るという。28日から大阪市で始まる日本薬学会で発表する。
これからの高齢化社会に向けて期待したい結果です。

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