大口開けてダイオキシンを一飲み−スーパー細菌
Asahi.comより「ダイオキシンひと飲みスーパー細菌 京大グループ発表」
体長の10分の1にも及ぶ「大きな口」をあけて物質をのみ込む特殊な細菌の遺伝子を、ダイオキシンを分解する能力がある別の細菌に組み込んでその力を倍増させることに、京都大大学院農学研究科の村田幸作教授(応用微生物学)らのグループが成功した。

この大口細菌は研究グループが京都市山科区の山林で採取したものです。
通常の細菌は、糖が重合した高分子をエサにするとき、体外に酵素を出し高分子を分解してから体内に取り込みます。しかし、発見された細菌は細胞の表面に大口を開けて高分子を丸飲みしていました。
この細菌はスフィンゴモナス属の細菌の一種で、体長約1マイクロメートル、口の大きさは約0.1マイクロメートル。
遺伝子を解析したところ、物質を輸送する膜タンパク質「ABCトランスポータ」などが穴を形成することを確認しました。
研究グループは、細胞表層で物質をつかまえ、内部へ送り込むタンパク質などを作る遺伝子5個を、同じ属で土壌中のダイオキシン分解能力を持つ「RW1」に導入。
その結果生まれた新しい細菌も同じような「大口」をもち、導入前の細菌と比べ2倍程度のダイオキシン分解能力がありました。高濃度のダイオキシンの中でも死なずに増え続けたとのことです。さらにポリウレタンの原料PPGを分解する菌に遺伝子を導入しても分解能力が向上することが分かりました。
グループは、ほかの細菌にも応用できるとみており、重金属などの有害物質を浄化したり、有用物質を効率よく作ったりするさまざまな「スーパー細菌」の開発につなげたいという。ダイオキシンを分解する細菌はこれまでにも発見されていますが、分解能力が低く実用にはいたりませんでした。この大口細菌で少しは実用に近づいたかも。
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