毎日新聞より「ES細胞:米チームのマウス実験 受精卵を壊さず作成」
1個の受精卵から、正常な赤ちゃんと、どんな細胞にも成長できる万能性を持った胚(はい)性幹細胞(ES細胞)の両方を得ることに、米バイオ企業「アドバンスト・セル・テクノロジー」やウィスコンシン大などの研究チームがマウスの実験で初めて成功した。英科学誌ネイチャー(電子版)に16日発表した。

ヒトのクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作り、再生医療に使う際に生じる倫理的問題を解決できる可能性を秘めた技術が、同時に2つ発表されました。
米国のベンチャー企業、アドバンスト・セル・テクノロジー社(ACT)などの研究チームは受精卵を壊さずにES細胞を作る技術を発表しました。マウスの受精卵が8つの細胞に分裂した8細胞期に、一つの細胞をとりだし、別のES細胞と一緒に数日間培養。すると細胞は未分化な状態を保ったまま分裂を続け、神経細胞や骨、心臓の筋肉細胞などに分化する新たなES細胞ができたとのことです。
一つの細胞をとりだした後の受精卵を代理母役のマウスの子宮にしれると、妊娠し、正常な赤ちゃんが誕生。
赤ちゃんとES細胞はもともと同じ受精卵から育ったことから遺伝子は同じ。このためES細胞を凍結保存しておけば、将来、けがや病気で治療用の細胞や移植用の臓器が必要になった場合に、拒絶反応なく利用できることになる。
また、kこれとは別に、マサチューセッツ工科大(MIT)の研究チームはクローン個体誕生を防止する技術を開発し発表しました。
クローン胚は、核を抜いた卵に体細胞を移植してつくります。これを培養すると胚性幹細胞になりますが、この卵を仮親の子宮で育てるとクローン動物になります。
研究チームははマウスの細胞を取り出し、「Cdx2」という遺伝子を操作し、クローン胚を子宮に移植しても胎盤ができず子として生まれないようにしたのち卵子に移しました。できた胚を仮親の子宮に戻しても着床しなかったとのこと。
一方、胚の内部の細胞を特殊な条件で育てるとES細胞ができ、普通のES細胞と同様の能力を持っていたということです。
受精卵から胚性幹細胞を作る方法は、将来に命として生まれるべき受精卵を壊しているという批判がありますし、クローン胚はクローン人間誕生などの危険性を秘めています。今回マウスで開発された新技術をヒトでも実現できればES細胞に科された規制も緩和されるかもしれません。