チンパンジーのゲノム概要解読−ヒトはなぜヒトたりえるのか
Asahi.coomより「チンパンジーのゲノム概要解読 ヒトの能力解明手がかり」
ヒトに最も近い生物、チンパンジーの全遺伝情報(ゲノム)の概要を米国のチームが解読した。ヒトのゲノムと比較すれば、知性などヒト独特の能力を解明する手がかりとなるが、すでにヒトとチンパンジーの間で進化の様子が違う遺伝子の候補などもあり、今後の研究が期待される。この成果は1日発行の科学誌ネイチャーに発表された。
ヒトに最も近い動物であるチンパンジーのゲノム解析がほぼ終了しました。哺乳類のゲノムが解読されたのは、ヒト、マウス、ラットに続き4種目となります。
研究結果によれば、ヒトとチンパンジーのゲノムの違いは4%程度。このうち塩基が一つだけ違うのは全体の1.23%で、これはすでに日本のグループが示している結果と同じとなりました。しかし、挿入や欠失などが起こっている部分を含めると違いは4%程度となります。特にタンパク質を作る遺伝子に限ると、71%に微妙な違いがあることが分かりました。
ヒトとチンパンジーが共通祖先から枝分かれしたのは約600万年前とされていますが、ヒトとチンパンジーの双方でその後、いくつかの遺伝子について急速な変化が起きていることも判明。目立ったのは嗅覚や免疫、精子を作る遺伝子などでした。
MITの別のチームが解読データをもとに、Y染色体を人間と比較したところ、人間では昔からの遺伝子がよく保たれていたのにチンパンジーでは少なくとも5種類の遺伝子が機能しなくなっていたことも報告されています。雌の獲得に極めて激しい競争があるチンパンジーでは、精子づくりに関係しない遺伝子の機能が徐々に衰えたためと考えられます。
今回の結果は正確さが99%程度の概要で、まだはっきりしたことはいえないが、調べられた遺伝子の中には、ヒトとチンパンジー双方で突然変異が起きやすく環境適応に役立つと考えられるもの、チンパンジーよりヒトの方が進化が速いものの候補も見つかった。ヒトにあり、チンパンジーで失われるなどした遺伝子も50以上見つかった。ヒトが直立歩行をしたり言語を習得することができたのはなぜかという問いにまだ答えは出ていません。チンパンジーとヒトのゲノムの違いを比較することはヒトがなぜヒトたり得るのかという問いのヒントになるかもしれません。
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