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2005.07.01

米厚生省から掲載待ったがかかったテロ対策の論文

nikkeibpより「「毒素10gで50万人に被害、死亡率は最悪60%に」、米国の毒素テロ研究

単一の加工施設を通って消費者に届く牛乳がバイオテロの標的になったらどんな被害が発生するか、数理モデルによる予測研究の成果を示したStanford 大学のLawrence M. Wein氏らの論文は、米科学アカデミー紀要(Proceedings of National Academy of Sciences:PNAS)誌2005年5月30日号に掲載される予定だった。
ボツリヌス毒素しかしこの論文は米厚生省(HHS)からテロリストの手引きになると批判され、掲載がいったん中止されました。その後、科学アカデミーはこの論文の情報がインターネットの検索で入手しうる水準のものにとどまっており、テロリストが脅威を増大させるための新たな材料はないと判断、PNAS誌の電子版に掲載されました。

論文は、神経マヒなどを引き起こすボツリヌス毒素が牛乳に混入された場合のシミュレーションを行ったものです。

もしこの毒素が生産者から集めた牛乳を集中的に貯蔵・加工する工場で投入された場合、毒素は希釈され、約56万8000人の口に入ることになります。被害はほとんど3−6日目に現れることになります。今回のシミュレーションでは100人目が症状を示したときに流行が発覚し、テロであることが判明したとの想定で行いました。消費をストップするのに24時間かかると考えると、牛乳が77度15分間の殺菌を行われたとしても、10gの毒素で56万8000人のほとんどに被害が及ぶという結果が得られました。

また、被害者の約60%に人工呼吸器の装着が必要になると考えられ、解毒剤の備蓄が少ないため死亡率は60%に近づく可能性もあるとのこと。

ボツリヌス菌は早期に解毒剤を投与しなければ3分の1以上が死亡すると考えられています。人から人への感染力はありませんが、経口摂取した場合平均18時間で吐き気や呼吸困難などを引き起こします。

ボツリヌス毒素を生産する技術の研究は、1980年代にイラクで進んだという。当時の方法でも、特別の器具を持たないテロリストが10gの毒素を得ることが可能だとWein氏は考えた。
この研究ではシミュレーションの結果をもとに、検査法の確立や対策などの政府の対応を促しています。

日本では牛乳は一般的に超高温熱処理(120−140度で2秒)を行っているためこの毒素も完全に不活性化でき安全だと考えられています。しかし、アメリカの消費者の間では超高温熱処理は好まれていないようです。

少し牛乳を飲むのが怖くなるニュースではありますが。

<参考>「Analyzing a bioterror attack on the food supply:The case of botulinum toxin in milk」(PDF)・「ナノテクで細菌検査−1個から検出できます

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