世代が下がればますます科学嫌いに
京都新聞より「若い世代の科学離れ加速 「関心ない」が「ある」上回る 」
科学技術への関心が若い世代ほど低く、30歳未満では関心がないと答えた人が、あると答えた人より多いことが、内閣府の「科学技術と社会に関する世論調査」で10日、明らかになった。
科学技術に関心があると答えた人の割合は50代の58・6%をピークに40代57・5%、30代51・9%、20代41・3%と顕著に低下。20代では関心のない人が51・5%と、関心のある人を約10ポイント上回った。18、9歳はさらに差が広がり、関心のある人は36・4%なのに、関心がない人は54・5%にも達した。
科学技術に関心があるということは、やはり科学が好きな人だろう。先日の「アメリカでも深刻な理系離れ」のトピックでも書いたが、日本でも科学嫌いが増えている。
実際に教えていても、子どもたちの科学離れは進んでいる。一昔前なら、大人顔負けの知識を持っている生徒もいたが、いまはそんな子は限りなくレアな存在となっている。
いつごろからそうなったのか。やはり、今の20代前半の年齢層を境にしているような気がする。前々回の指導要領の改訂くらいと重なるだろうか。
でも、小学生くらいの子どもたちに科学の話をすると目を輝かせて聞いてくれる。彼らも知的欲求はもっているのだが、それをどこかでつぶしているということなのか。
僕が小学校の頃には、学研の「科学」と「学習」なんて雑誌もあって、結構売れていたようだが、最近はどうなんだろうか。そういえば、大人を対象にした「大人の科学」は好調だと聞いたが。
高校生になるとあきらかに科学に関心のない生徒が多い。今は理系を選択するのも、化学や物理が好きだからという生徒は少なく、数学がまあまあできて英語が苦手だからという生徒が圧倒的に多い。
小学校の理科の教科書は、いろいろな現象があることを表面的にのべるだけで、その根底の理論やもっともっと奥深い事象には触れていない。当然、小学校レベルの数学力では今の科学は理解できないのだが、でも、もっと深いところに触れてやる必要はあるのではないか。
ただ、教育だけが理由ではないだろう。今の30代以上の人が子どもの頃は、まだ電子回路も複雑でなく、今のようにブラックボックス化されてなかった。少し背伸びすれば小学生でも内部構造は理解できた。でも、今はもう無理。
身近な科学が手の届かないところにいっている。僕が今の子どもだったら、やはり科学嫌いになっていたかも。
Comments
Fumさん、お久しぶりです。
化学ネタに思わず引きずり込まれてしまったSanaです。
個人的な意見ですが、化学や物理などの理科系の科目が、単に暗記するだけのものになってしまっているような気がするんです。それではなかなか興味は持てないでしょうね。
これらの科目に興味が持てるようになるにはやはり、実体験がものを言うような気がします。
私は子供の時から時計やラジオを分解して遊び、学研の「化学」の付録で育ち、中学の時に化学の実験でナトリウム片が水の上を熱を出しながら滑るように動くのを見たのがきっかけで化学に興味を持ちました。最近の子供たちはこういう体験があまりないのかもしれません。
今まで机の上でしか知らなかった現象が目の前で起きているのを見た感激とか、中に何が入っているか分からないものを開けて見た瞬間の興奮とか、そういう「わぁ~!」と声をあげたくなるような感動って、いつまでも人の記憶に残るんですが、ある意味リスクも伴うので、安全第一の今の学校方針ではこういった実験をすること自体が難しいのかなあとも思います。
Posted by: Sana | 2004.04.12 at 01:06 PM
僕も、家中の家電製品を分解してみたくちです(組み立てるとしょっちゅう部品が余ってましたけど)。理科の実験も毎回毎回変わったことをする必要はないけれど、年に一度や二度は、子どもたちの心に残ることをしてほしいなと思います。
でも、今の家電は分解できませんね。テレビの中身なんて知らなくても生きていける時代になったということでしょうか。この国の未来はどうなるのかなと不安になることがあります。
Posted by: Fum | 2004.04.12 at 06:22 PM